9月18日(祝)10:00~16:00
家族療法入門
東豊(龍谷大学)
本ワークショップは家族療法の入門者、あるいは日常の家族臨床において困難を感じている人向けです。
まず①家族療法の基本的な考え方 ②家族療法の基本的な進め方、この2点について入門的な講義を行ないます。
次にグループディスカッションを経て、講師との双方向のディスカッションを行います。
初学的な質問大歓迎です。また、ライブスーパービジョンも可能です。
参加者にはあらかじめ「家族療法への疑問」や「日常臨床で困っていること」「相談してみたい事例」を持ち寄っていただきたいと思います。
当日中にそのほとんどが解消できることをめざしたいと思います。
定員:なし
参加条件:守秘義務を守れる人
ロールプレイによる家族面接演習
中村伸一(中村心理療法研究室)、北島歩美(日本女子大学)、
宮崎愛(児童家庭支援センターパラソル)、岩井昌也(錦糸町クボタクリニック)
淡路島大会に引きつづきロールプレイによる家族面接の指導を4人のトレイナーでおこないます。
今回はジョイニングのステップからやや進め、関係性へのジョイニング、全体のアセスメントを終えた上でのアンバランシング、ポジティブコノテーイションなどに挑戦してみましょう。今回初めて参加される方にも無理のないワークショップです。お気楽にご参加いただき楽しんでいただきたいと一同思っておりますので、奮ってご参加ください。
定員:40名
参加条件:日本家族療法学会会員のみ
保護者支援と教職員支援の実践的演習、システムズ・コンサルテーションを身につける
吉川悟(龍谷大学)
システムズ・コンサルテーションは、教育現場で求められている関係者(保護者)支援や支援者(教職員)支援に最も有効な実践方法だと考えられます。しかし、実質的に現場で活用する場合の実践的なガイドラインがないためか、広がりを見せないままであるとともに、有効な研修機会がなかったことも大きな問題であると考えています。
今回は、ガイドラインを示し、このポイントごとの論拠を理解し、それに沿って実践的演習を繰り返すことを目的としたワークショップとなります。可能ならば、システムズアプローチの基礎的なことが理解できている方がわかりやすいと思います。ただ、何でも良いから効果的な方法を身につけたい」というならば、捨て身でご参加ください。
定員:なし
参加条件:演習がベースであることを理解してご参加ください
うまくいかなくなった二人に取り組むナラティヴ・アプローチ
国重浩一(ナラティヴ実践協働研究センター)
ナラティヴ・セラピーは、セラピストとクライアントの一対一の場面だけでなく、家族、友人、カップルなど複数を相手に会話を紡いでいくことにも取り組んできました。このワークショップにおいて、ナラティヴ・アプローチにおいて問題をどのように見なすのか、問題を解決するというよりも問題をほぐしていくためにはどのような会話をすることができるのか(外在化する会話をどのように活用することができるのか)、うまくいかなくなっている二人が同席している場で、どのように会話の舵取りをすることができるかなどについて検討していきます。以前にロールプレイでデモンストレーションをしたものがありますので、それを聞きながら実際のやりとりについても紹介します。
このような取り組みは、広くは修復的実践と呼ばれますが、今回は対立するグループに対してではなく、うまくいかなくなった二人に対する場面に限定して検討します。事前に予習しておきたい人もいるかもしれませんので、参考文献を掲載しておきます。
ペイン著『カップル・カウンセリング入門』、『Narrative Therapy: An Introduction for Counsellors』(翻訳中)
ウィンズレイド&モンク著『ナラティヴ・メディエーション』、『Practicing Narrative Mediation』(翻訳中)
BPSモデルのケースマネジメント-家族のアセスメントを支援に活かす-
近藤直司(大正大学)
最初に、生物-心理-社会モデルのケースマネジメントと、家族をアセスメントする方法について解説します。それに基づいて、参加者のみなさまにケースマネジメントのためのフォーマットを作成していただきます。
次に、作成したフォーマットに基づいてケースをレポートする/聴く、というグループワークをします。このグループワークでは、自分のアセスメントや、そこから抽出される支援課題と具体的な支援方針、そして、それらの根拠となる情報・エピソードを的確にまとめ、整合性と説得力のあるケースマネジメント、そして、他者にわかりやすく伝える技術が課題になります。また、家族に関するアセスメントを支援方針の策定に活かすことを、とくに重視したいと思います。
それぞれのケースを持ち寄ることになりますので、守秘性には十分に配慮します。守秘義務を遵守できる方、ご自分が担当したケースをレポートできる方に参加していただきたいと思います。このワークショップは、自身のアセスメント技術を高めたい方、スタッフのレベルアップを図りたいと考えている方、後進の指導について考えたい方にお勧めします。
定員:40名
参加条件:事例を提出していただきグループで検討するワークを行
ソーシャルワークと家族療法
福山和女(ルーテル学院大学)
現在、社会福祉に限らず、医療、司法、教育、障害の領域では、児童、高齢者、障害者など、さまざまな対象者が社会環境からの影響を受けて彼らの課題と取り組んでいます。その取り組みを支援することについては、家族ソーシャルワークの実践が必要となってきました。家族療法の実践だけではなく、家族システムズ論的視点を取り入れ、対象者を取り巻く、家族、組織、地域等との交互作用の理解を深めたいと思います。特に、クライエントを取り巻く家族への支援は不可欠であり、家族システムレベルでの支援効果が期待されています。
ソーシャルワークの専門性の中で、家族療法的視点や理論を適用する工夫を皆さんと一緒に考えていきたいと思います。机上の論に終わることなく、実際にロールプレーなどを取り入れて、具体的な効果的な方策について考えていきたいと思います。現場での皆さんの取り組みを教えてください。互いに協働実践をしていきましょう。
児童虐待対応 ~家族療法を応用すると何が起きるのか~
中垣真通(子どもの虹情報研修センター),三木 馨(西日本こども研修センターあかし),加藤俊造(新潟県南魚沼児童相談所),山中博喜(静岡県中央児童相談所)
児童虐待の対応には児童相談所だけでなく、市区町村、学校、児童福祉施設などがより広く関わるようになってきた半面、指導しても結局は虐待が繰り返されたり、関わりを遮断されたりするなど、対応の難しさを味わう関係者が増えているように思います。保護者が不適切な行為をやめることは必要ですが、いかにそれをやめさせるのか、という目標設定では行き詰まりやすいと感じている支援者が多いのではないでしょうか。そもそも保護者に対して、力に頼った躾をやめさせるために、法的権限で指導する構造が、矛盾を孕んでいるのかもしれません。
このワークショップでは、行き詰まりや矛盾を抱えやすい児童虐待のケースワークにおいて、家族療法が蓄積してきた知見や技法を応用すると何が起きるのか、いっしょに考えてみたいと思います。考えるための基礎として、”家族には力がある””犯人捜しをしない”などの家族療法的姿勢、家族の構造・機能・歴史等に着目する家族療法的見立て、家族内の負の連鎖に介入する技法など、家族療法の概要を簡単に紹介します。そして、皆さんとの協働によって、ケースワークがどのように”化学反応”を起こすのか、ロールプレイを通じて試してみたいと思います。
なお、守秘の遵守と能動的な参加を求めます。この点を了解の上ご参加ください。
定員:40名
在宅医療における家族支援
若林英樹(三重大学総合診療部/名張地域医療学講座)、宮本侑達(ひまわりクリニック/名古屋大学大学院医学系研究科博士課程)、山田宇以(聖路加国際病院心療内科)、永嶋有希子(弓削メディカルクリニック/滋賀家庭医療学センター)、渡辺俊之(渡辺医院/高崎西口精神療法研修室)
近年、自宅や施設などの生活の場に医療者が訪問する在宅医療が日本で着目されています。世界で類をみない高齢化対策と最期まで自宅療養を希望する人が多い社会課題の解決が主な理由ですが、在宅医療は臨床に新しい視点をもたらします。
特に、生活場面に赴く在宅医療ではシステム論的視点や家族療法的アプローチは非常に有用です。老年期から終末期を迎える患者とその家族は、明確な喪失体験にさらされ、介護する側/される側の役割交代が起こり、自立していた世代が再度凝集するため過去の未解決の家族問題が顕在化することはよくあります。また、意思決定の際に患者や家族内に葛藤や対立があることも多くファシリテーション技術も求められます。
本ワークショップは、在宅医療でよくある疾患がんや認知症患者とその家族の特徴、介護家族の課題とポイント、アドバンスケアプランニング、終末期コミュニケーションを在宅医療・家庭医療・精神科・心療内科・家族療法家のエクスパートと共に学んでいきます。
これまで在宅医療に心理職/家族療法家が参入することは少なかったですが、活躍いただけることはたくさんあります。在宅医療はまだまだ発展途上の分野です。世界で類を見ない日本の高齢化に対し、ぜひ一緒に皆様と一緒に考え向き合っていきたいと思います。奮ってご参加ください。
定員:約30名