①「家族療法・ブリーフセラピーにおける“ことばと会話”」
*日本ブリーフサイコセラピー学会との共同企画
シンポジスト
津川秀夫(吉備国際大学)
黒沢幸子(目白大学/KIDSカウンセリング・システム)
坂本真佐哉(神戸松蔭女子学院大学)
斎藤環(筑波大学)
座長
市橋香代(東京大学)、田中究(関内カウンセリングオフィス)
家族療法とブリーフセラピーはその出自を同じくしており、共通する重要な伝統の一つはクライエントと家族及び関係者の力を引き出すための“ことばと会話”の開発にある。エリクソン催眠,、MRIブリーフセラピー、解決志向アプローチ、ナラティヴ・アプローチそしてオープンダイアログへと続く系譜を辿り、対人援助における“ことばと会話”の向けたさらなる意義を探っていきたい。
②「『チーム』や『連携』が自律的・機能的となるための支援~システムズアプローチの観点から~」
シンポジスト
浅野久木(刈谷病院)
高林学(龍谷大学)
児玉久仁子(東京慈恵会医科大学)
(兼・指定討論):吉川悟(龍谷大学)
座長
中野真也(国際医療福祉大学)
今日、あらゆる対人援助領域において、個人と家族及び関係者・専門職間でのさらなる連携・協働の必要性が求められている。しかし、その基本モデル及び具体的な方法についての認識が乏しいために、より効果的な連携・協働に至っていない。そこで、それらの問題点を明らかにしながら、家族療法のベースであるシステムズアプローチの意義を再認識すると共に、さらなるコンサルテーションの可能性についても探っていきたい。
➂「家族療法モデルによるスーパーヴィジョンが目指すもの」
シンポジスト
石井千賀子(石井家族療法研究室)
小笠原知子(金沢大学)
中野真也(国際医療福祉大学)
指定討論
中村伸一(中村心理療法研究室)
座長
村上雅彦(広島ファミリールーム)、北島歩美(日本女子大学)
本学会の認定スーパーヴァイザー制度がスタートして10年余を経過し、現在、18名の会員が認定スーパーヴァイザー資格を有している。家族療法モデルによるスーパーヴィジョンはシステミックな観点をベースにしながらもその多様性に特徴がある。本シンポジウムでは、それらの実践報告を通してスーパーヴィジョンにおける家族療法モデルの意義と課題について検討する。
④「家族心理教育の現在地~精神疾患という経験をどう理解し、どう支援するか?~」
*心理教育・家族教室ネットワークとの共同企画
シンポジスト
伊藤順一郎(メンタルヘルス診療所 しっぽふぁーれ)
岡田久実子(みんなネット)
渡邉真里子(ちはやACTクリニック)
指定討論
福井里江(東京学芸大学)
座長
後藤雅博(こころのクリニック ウィズ)、皿田洋子(六本松心理教育臨床オフィス)
現在精神科医療では短期入院の促進と「精神疾患にも対応した地域包括ケア」という言葉に代表される訪問・アウトリーチ推進の方向性から、家族支援については従来型の家族教室形態は見直しを必要とされている。また疾患概念の変容により、疾患教育に代表される疾患単位によるアプローチも見直しが要請されているといってよい。さらに当事者・家族の治療参加の促進を背景にした協働的アプローチも広く普及しつつあり、これらの現状を踏まえて、家族心理教育と家族支援のあり方を考えたい。
⑤「法制度と家族支援~被害者と加害者の狭間で~」
シンポジスト
廣井亮一(立命館大学)
久保健二(福岡市立子ども総合相談センター)
中田慶子(DV防止ながさき)
指定討論
国重浩一(ナラティヴ実践協働研究センター)
座長
半澤利一(東北福祉大学)
今日、児童虐待やDVなど家族関係をめぐる重大事案の増加に伴い、それぞれ法制度のもとでの対策が進められてきている。そこでは、被害者への救済支援と共に、加害者には法による裁きと更生に向けた取り組みが行われるが、家族の中で被害者と加害者が特定されるという悲劇的事態を前にして、家族療法モデルはどのような貢献ができるか議論を深めていきたい。
⑥「赤ちゃんと家族~周産期医療の進歩による光と影~」
シンポジスト
後藤清恵(国立病院機構新潟病院臨床研究部)
近藤達郎(みさかえの園総合発達医療福祉センター)
宮田郁(大阪医科薬科大学看護学部)
座長
上別府圭子(国際医療福祉大学大学院家族看護領域)
赤ちゃんの誕生は、言うまでもなく家族形成における最大のイベントであるが、今日、生殖医療技術などの周産期医療の進歩によって、妊娠から出産そしてその後の子育てのプロセスにおいて母親はもとより家族はあらたな諸課題に直面している。こうした現状と今後に向けて家族療法モデルが貢献できる可能性を探っていきたい。
9月16日(金)16:30~18:30
7.家族向けに動機づけ面接を伝える
岡嶋美代(BTCセンター東京)
動機づけ面接とは対人援助職と当事者間での協働的な会話スタイルを保ちながら、当事者自身がもつ変化への動機とコミットメントを強めていく方法として知られている。技法が開発されたアルコール依存症の領域では、治療意欲のない当事者をどのように健康行動へと導けるかが問題となっていた。一方で、相談には家族が訪れることもあり、家族へ動機づけ面接の基本を教示することで、当事者―家族間での関係性の再構築をはかり治療意欲を高めていくことや、治療の妨げにならない対応を家族が学ぶことができる。本ワークショップでは家族向けコミュニケーション・スキル・トレーニングに特化した動機づけ面接の伝え方をまとめてみた。関係性重視のカウンセリング技法のコツは、家族訓練のみならず、さまざまな臨床でチョイ足し可能な技術でもある。エクササイズを体験していただく時間も設けたい。